平成26年度しぐれ歌会ベスト20作品

第1位   
眠った小若を古老の手から 母がゆめごと抱っこする  
21点              稲葉建正 
第2位   
寒いね暑いねああ美味しいね 誰かが隣にいてくれる 
20点              末松章子
第3位
途切れ途切れの神社の笛は 風が千切った春の音    
14点              阿部 勲
第4位
畔が区切った田んぼの水に 夏が四角く揺れている   
 12点             篠田みや
第5位
内緒ばなしももうつつ抜けの 春の空気のかるいこと  
11点              鈴木秋霖
第6位 
花咲く種などどっちも無くて 父も父たり子も子たり  
11点              吉住義之助
第6位  
祭り支える裏方さんが 誰より根っから祭り好き      
11点               葉山湘風
第8位  
百の名画に劣らぬような 窓が切り取る月ひとつ     
11点               砂花ことは
第9位  
ひとつ残ったかんぴょう巻きも 打ち明け話を聞いている 
11点               末松章子
第10位 
黙って聞くのも答えの一つ 日陰分け合う長話       
11点               大越幸人


第11位 
菜花の酢味噌が舌から染みて 体が内から春になる   
10点              吉福康郎
第12位 
風とひかりで磨いたような 坂から見下ろす夏の海    
10点              嶋本遊幾
第12位 
どうにも譲れぬ一言だった 今夜の手酌が深くなる    
10点              佐藤孔亮
第14位 
縦糸横糸織りまぜながら 想いがひとつになるふたり  
10点              黒沢きみ子
第15位 
虹の向こうの夢追いながら 今日は大事な人といる    
9点               黒沢きみ子
第16位
も少し誰かに見せたい浴衣 祭囃子を引き返す       
9点               末松章子
第17位 
恋の鍵穴やさしく開けて 夢に出てきてほしいひと      
8点                西山智華
第18位 
じゃまにならない笑顔を添えて 話し上手は聞き上手    
8点                鈴木秋霖
第19位 
夕陽に大きく輪を描くトンビ 明日もあなたに逢いたいな 
8点               州戸行々子
第20位 
塀の落書きくすんだままに 秋も終わりの陽が移る     
8点                鈴木秋霖  

『ベストテン歌選考について』
 平成26年度しぐれ歌会ベストテンの選考は例年通り、同人10人と吟社より依頼の12人の方々の、合わせて22人による合点で行われました。対象となる作品はしぐれ例会と11月の大会、ならびに誌上歌会の計11回の歌会の三才作品で、今回は165章に及びました。各選者にはその中から三才、五客、七秀を選んで頂き、1月末には結果を頂戴しました。2月3日に義之助宅で孔亮、陽子が集計にあたり、前頁の結果となりました。
 稲葉建正さんは22年度に続いて2回目の第1位です。上位にいつものお顔が並ぶ中で、第8位に砂花ことはさん、第10位に誌上大会ご参加の大越幸人さんが入り、新鮮な味を加えて下さいました。なお例年通り、1位には安閑坊さんよりご褒賞を頂きました。皆さんご協力ありがとうございました。(孔) (「しぐれ誌」第702集より)  
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現代都々逸のつくりかた

俳句や短歌などと同じような短詩文芸である都々逸は、七・七・七・五調の定型詩です。ここではそのつくりかたと音律について、しぐれ歌会ホームページより引用してみます。

赤い夕陽が校舎を染めてニレの木陰に弾む声(高校三年生)

廻し合羽も三年烏意地の縞目もほつれがち(箱根八里の半次郎)

上の2つの歌、皆さん一度は耳にされたことと思います。
これらに限らず、日本の、特に昭和の歌にはこうした七・七・七・五調の歌が多くあります。
つまり、この七七七五というリズムは、日本人にとってまさに慣れ親しんだリズムと言えます。
そして、都々逸もこの七七七五の短詩文芸なのです。

もともと「唄う」ことを前提に作られた定型詩なので、リズムには「こだわり」があって、
この七・七・七・五形をさらに細かくしたルールが設けられています。

~三四、四三、三四、五~

まずこのリズムを踏襲しないことには「都々逸」と認められない、ということを覚えてください。

例えば「箱根八里の半次郎」を例にしますと…
廻し(3)、合羽も(4)、三年(4)、烏(3)、
意地の(3)、縞目も(4)、ほつれがち(5)
となります。

また、最初の七を「上七」、二番目を「中七」、三番目を「下七」、最後の五を「座五」といい、
上七と下七には字余りが認められています。

そんな騒ぎも夜露と消えて七十五日の語り草(吉住義之助)

昼寝の縁側尻尾が揺れて猫は夢まで猫になる(横田輪加造)

万歳土下座のどっちもできず尖ったまんまの石っころ(佐藤孔亮)


1つめは「下七」が、2つめは「上七」が、3つめは「上七」「下七」が「四四」になっています。
字余りが認められているのは「上七」と「下七」だけで、それも四四形に限られます。
あと、字余りではありませんが、中七は四三形の他に二五形が認められています。

地球儀回してみる空しさは俺もいつかは無にかえる(西潟賢一郎)


以上の形の通りになっていれば、それは立派な「都々逸」です。
しかし、もう1つ「やってはいけないこと」があります。
川柳では「~してしまい」とか「~子に聞かせ」などの連用形で終る句が多くありますが、
都々逸ではそれを「川柳止め」といって嫌っています。
なるべくならこういう止めかたを避け、簡潔に結ぶというのが都々逸の「心」ではないでしょうか。
以上のことを踏まえ今後紹介する「しぐれ吟社」の歌会で採られた作品を鑑賞してみてください。

そして、もし興味がありましたら、ぜひとも「実作」に取り組んでみてください。
都々逸は昔でこそ「大人の色恋」とか「男女の手練手管」を詠じた歌が多くありましたが、
現代都々逸・街歌は「日常」「心象」「生活」を詠じる詩です。
自由な感性と表現で、皆さんなりの「都々逸」を作ってみてはいかがでしょうか。

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